もう40年以上も前のことです。右も左もわからないまま、他の業界からこの建築業界に飛び込んだ私が、
まず一番に驚いたのは、私の常識が全く通用しないことでした。もちろん「良い意味で」ではありません。
作業中の現場はちらかり放題。現場には土足で出入りする。
くわえ煙草で作業をし、かたわらには大音量のラジオ。
私にはまだしも、お客様やご近所の方に会ってさえ挨拶もせず、話しかけてもろくに応えもしない。
確かに腕は良いのでしょう。
でも「現場(商品)はお客様からの預かりもの」「仕事はお客様の満足のため」
という常識の中で生きてきた私にとって、「経験と勘だけで仕事をし」「頼まれた仕事をこなせば良い」
という当時の職人たちの意識は、到底耐えられるものではありませんでした。
当時まだ若かった私は、仕事が終わった後、よく酒を飲みながら職人たちと語り合いました。
「怒鳴り合い」と言った方が正確かも知れません。
自分の父親のような歳の職人を相手に、「住まいとは」「お客様への対応の仕方とは」などといった、
学校出たての若い人に説教するようなことを、根気よく説きました。
現場で煙草を吸うな、ラジオはご近所に迷惑だから止めろ、現場はきれいに掃除しろ、土足などもっての他だ…。
でも最後は「俺たちはこれで何十年もやってきたんだ」「素人は黙っていろ」で終わりです。
素人の私が見ておかしいものは、お客様が見てもおかしいのだ、あなたたちは誰のために仕事をしているのだと
訴え続けて、何年も経ちました。
今、オガワホームの現場は、全国から同業者が視察に来るほどきれいになりました。
大工をはじめとする職人は、お客様やご近所の方にはきちんと挨拶をし、ご質問には笑顔で応えます。
私が口うるさく指導した成果です、と誇りたいところですが、きっとそうではないのです。
最初は「社長がうるさいから」と渋々従っていた職人達に、お客様からの感謝・感動の声が届き始めました。
熱い言葉が綴られたお手紙も、たくさん頂きました。
ふだん無口で無愛想な職人でも、喜ばれてうれしいのは同じです。
もっとお客様に喜んでもらいたいと、自発的に現場の掃除を始め、お客様に笑顔でご挨拶するようになりました。
結果、40年前からは想像もつかないような、モラルの高い職人集団が出来上がったのです。
お客様の感謝・感動(ときどき叱責)の声に支えられて、オガワホームはここまでやってまいりました。
これからも、一流の腕は当然のこと、一流のおもてなしの心を持って、お客様に感動と満足を
与えられる会社であり続けたいと願っております。
皆様の変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
社是 : 良い家に住むことは万人の願い、この願いを実現するために私たちは全力を尽くします。